ろばの穴・別館 Annex

アップル製品への熱い想い & PCガジェット全般のメモ

人としてやっちゃいけないこととそれに振り回されること

アフィリエイトで成功して、社会的地位を得る方法。
悪いアフィリエイトサイトを、具体的にたくさん見せます。

この2つの記事を読んだとき、がーんと頭を殴られたような気がした。これらの事実を知らなかったからではなくて、この界隈の情報をなんとなく追いかけてて、心の底でもやもやしていたことが、形として記事にされたからかもしれない。


私はかるてぽすとの内容も木下さんの名前も知っていた。TOBYOも知っていた。それは自分が病人だからだ。
そして、最近はアフィリエイトという「業界」の事情も知り始めた。

  • そこで自己矛盾に陥っていた。

私は難病を患い、普通には働けない。自宅でPCを道具にこつこつ稼ぐのが精一杯だ。それでも健康だった頃の貯金を食いつぶしながらの日々は決して精神的に安寧なものではない。統合失調症の母の面倒を見ながら幼い頃からあれだけ苦労してきたのだから、大きくなったら安心して暮らせるようになりたいと思っていたのに、神様はひどいもので、私にまだまだ試練を与えたいらしい。

そんなとき「アフィリエイトというのは、実はこつこつ真面目なサイトを維持して儲かるものではない」という事実を知った。呆れると同時に、私みたいな時間だけは有り余る半病人にはもってこいの商売ではないか?とも思った。

  • そう、私は「仲間を売る」商売に手を出そうとしたのだ。


アフィリエイト自体は昔からブログでちまちまとやっていたけど、その目的は自分で試したり見つけた商品を人に勧めたいという気持ちが一番で、それで入ってくる収入はほんとに微々たるものだ。毎月1000円もいかない。

それが、人海戦術でたくさんのサイトを量産し、それだけではなくそれらを相互リンクさせたり、ドメインの取り方一つにも、SEO的手法がちゃんとあり、それらの定石を駆使して努力さえすれば、月数十万の収入は簡単に得られるということらしい。それがアフィリエイトマスターの手法なんだそうだ。(もちろん全部は知らないよ)

ということは、1人(または1組織)で、星の数ほどのサイトを作ることが必須というか基本作業になる。

そのコンテンツはいったいどこから引っ張ってくるのか? 人間ひとりが考えつくコンテンツなんて池田信夫氏をもってしてもたかが知れている。

というわけで、なるほど「病名.com」的サイトの内容はすかすかだし、1ページしかないし、それらが何故か姉妹サイトになっていたのが、納得できてきた。病気の情報もそんなのわかってらー的な内容なのに、何故かググるとトップにいつも居座っていたりする。


そういう状況を知るにつれ、自分だったら有用なサイトを量産できるんだろうか? こと病気に関してならできるかも?なんて思ってみたり、いや、そんな甘っちょろいことを言っていたら、誰のためにやってるのか分からなくなる。

そう、情報サイトって一体誰のために作るの? その疑問にたどり着いてしまった。ポータルサイトなら色んなリンクがあってもいいけど、有用な商品の紹介があってもいいけど、それはあくまで管理人がその病気の人たちのために作っているから許せるのであって、純粋に儲けるためならば…? 法律に触れないならいいの?

これは病気の人の心細い気持ちを踏みにじる行為な気がして、自分でもその気持ちがすごく分かるから、やっぱり私にはアフィリエイトで稼ぐことはできない、という結論に落ち着いていた。

最初に引用した記事の筆者は、アフィリエイトで稼ぐことと「人としてやっちゃいけないこと」との矛盾に気付いてしまったのだろうか。アフィリエイトマスターの方々の一体何%がこの感覚を持ち続けてくれるのだろうか。恐らく、人って最初は後ろめたいことでも、お金がどんどん入ってくれば考えないように自分を訓練してしまうか、無視してしまえるようになるんではないかと思う。


もう一つ言いたいことがある。あの記事の筆者はTOBYOのことをすごくエラいと書かれている。しかし、TOBYOの三宅氏の思想にも私は1闘病ブロガーとして反感を持っている。恐らくご本人は崇高な意志のもとに、あれだけの検索システムを作り上げられたのだと思う。

Adsenseがないのは、理由が2つあって、単に欲望むき出しなのが嫌だからというだけではなく、代替え医療などを含む商品情報が自分の意図に関わらず、自分のコンテンツとごちゃまぜに表示されるのが嫌だからという理由もあるそうだ。)

しかし、病人や身体的欠陥を食い物にするアフィリエイトサイトと、闘病ブログを規格化しかねないムーブメントを引っ張ってるTOBYOと、どちらも死にものぐるいな病人の「感情」を無視していることには変わりがない。私の考えが変? このことを旦那や身近な友人に相談すると「そんなことより他に、病人のために考えることやできることがあるでしょ」と言われる。確かにそうなんだ。他人のやることが法律に触れるならそれを取り締まるお役所がちゃんとあるわけだし、法律に触れないなら感情を乱される方が損というだけだ。

でも、なんか納得いかない。気持ちの持って行き場がない。自分も闘病ブログを書いているけれど、それが勝手にインデックスされ、ランキングをつけられ、優良かどうかのスタンプを押されるなんて、なんだか許せない。病気仲間のブログと勝手に競争させられているような感覚に陥る。無視しなければいけないのに、無視できない。


結局「人としてやっちゃいけないこと」と「どうでもいい他人がやってることにいちいち心を乱されること」この2つってどう折り合いをつけたらいいんだろう。どうしたら気持ちよくいられるんだろう。